全国水産試験場長会


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会長あいさつ

 平成30年4月から新たに会長に就任した村山です。よろしくお願いいたします。

 昨年閣議決定された新たな水産基本計画では、漁業の成長産業化とその前提となる資源管理の高度化が基本方針として謳われています。資源管理の方向性としては、主要水産資源ごとに目標値を順次設定し、沖合漁業においてはI Q(個別割当)方式の活用方法が検討されることとなりました。重要な水産資源に関しては国が積極的に資源管理の方向性を示し、関係する都道府県とともに管理の効率化・効果的な推進を図るとしています。

これまでも重要な水産資源に対して、資源評価調査が実施されており、ABC(生物学的漁獲可能量)の算定や一部の魚種ではTAC(総漁獲可能量) 制度の導入も図られています。また、漁獲努力量の削減目標なども提示されています。しかし、多魚種を漁獲対象とする我国の漁業の多くで、特定魚種を対象とした努力量の削減は非常に困難です。現在大きな問題となっている太平洋クロマグロの資源管理においても、未成魚だけを定置網から逃がす技術開発が喫緊の課題となっています。しかし、定置網に入網する魚種は地域によって異なり、ある地域で成功した方法が、他の地域でも有効であるとは限りません。

一般に漁獲努力量を削減すれば水産資源は増加します。このことは、東シナ海の底魚資源が第2次世界大戦の直後、大幅に回復した事例や、直近では東日本大震災後、休漁を続けていた福島県の底魚資源が大きく回復したことがその証左としてあげられます。ところが、漁獲努力量を削減しても水産資源が順調に回復しない場合もあります。例えば、山陰地域では天然アユの資源回復を目指して、親魚保護のために秋季の落ちアユ漁の全面禁漁を強化しています。当初はこれにより資源回復が認められましたが、最近は資源の減少傾向が顕著となっています。この原因は、夏の終わりから秋にかけての降水量が増加し、アユの産卵期がそれ以前より早まりましたが、対馬暖流の影響を受ける山陰沿岸域の海水温は高いままで、海に流下したアユ仔魚の生残率が大きく低下したことが影響していると考えられています。水産生物の資源変動は漁獲の影響だけでなく、このような環境変化の影響も大きく受けます。そして、漁業の構造や環境変動には大きな地域差があり、全国一律の対応策を取るわけには行きません。

このため、水産基本計画でも国と都道府県が協力して資源管理に取り組むことが謳われています。地方の水産関係公設研究機関の存在意義が今大きく問われており、その代表者である場長会では、会員相互の連携を強化し、これらの課題に取組み、水産物の安定供給と水産業の発展に力を注いでまいります。どうぞ、ご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

平成30年(2018年)4月

 

全国水産試験場長会

 会長 村山達朗

(島根県水産技術センター 所長)

参考