全国水産試験場長会


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令和4年度全国水試場長会会長賞

令和4年度全国水産試験場長会会長賞受賞業績の概要

令和4年9月29日、東京都島しょ農林水産総合センター会議室で開催された会長賞表彰審審査委員会において、令和4年度全国水産試験場長会会長賞表彰候補として推薦された3業績の審査が行われました。その結果、いずれも全国水産試験場長会会長賞表彰を受けるにふさわしい業績であると判断され、令和4年度全国水産試験場長会全国大会(令和4年11月16日 富山市)でそれぞれ表彰され、記念講演が行われました。

北部太平洋海区のさば類の資源・漁況予測の精度向上に関する研究

機関:茨城県水産試験場(現:茨城県農林水産部水産振興課)
研究者:主任 多賀 真

選考理由
近年におけるマサバの急激な資源変動に対して、従来ブラックボックスとなっていた仔稚魚期における生残要因の一部を解明した。また、まき網漁業によるマサバ漁の盛期となる南下期について、資源量との関係から南下回遊 開始時期の予測が可能となった。特に南下期の漁況予測については、県内の漁業関係者のみならず、県外の産地市場からの問い合わせも受けるようになってきており、これらの成果は地域の水産業の発展に大きく貢献するものと認められる。

二枚貝養殖方法の特許技術を活用したタイラギ中間育成技術開発

機関:山口県水産研究センター 内海研究部 増殖病理グループ
研究者:専門研究員 多賀 茂

選考理由
アサリ、タイラギ等の二枚貝は資源が減少しており、増養殖技術の開発が重要である。本研究ではアサリを対象とした水路式陸上養成方式で特許を取得し、この技術をベースにタイラギの中間育成技術を開発したものである。現在、山口県では海上垂下および干潟における母貝団地造成技術開発に、同技術により中間育成された種苗を用いている。こうした一連の取組は、我が国における二枚貝増養殖に寄与するとともに地域の水産業の発展に大きく貢献するものと認められる。
 

 

カワウ食性解析へのDNAメタバーコ-ディング法の活用による食害対策

機関:青森県産業技術センター内水面研究所 調査研究部
研究者:主任研究員 静 一徳

選考理由
カワウは全国的に生息数の増加や生息域が拡散し、水産業における被害が顕在化している。これまでの胃内容物調査は、猟友会による駆除の時期や駆除個体の有無に左右されてきたが、カワウ糞のDNA分析により、季節的な食性変化を把握することが可能となった。本手法は少ない労力で成果が期待でき、カワウ対策推進の上で大きな障壁となっている食性調査に飛躍的な発展をもたらす技術であり、地域の水産業の発展に大きく貢献するものと認められる。