試験研究は今 NO.383

ウニの繁殖を保護するために
「平成10年度プラザ関連調査事業から」

 高級食材として寿司の「ねた」や「うに丼」の具としているあの「うに」は、トゲトゲしたウニの体のどの部分か、ご承知の方も多いと思いますが、「生殖巣」つまり雌の「卵巣」と雄の「精巣」の部分です。生物であるウニも子孫を残すために毎年季節の移り変わりと共に生殖巣を発育、成熟させて産卵を行っています。
 北海道の「ウニ漁業」もこの「生殖巣」いわゆる「身」の発育状況に合わせて漁獲を行ったり、産卵を保護するために「北海道海面漁業調整規則」で採捕の禁止期間を定めて資源管理を行っています。
 北海道では生食用として「エゾバフンウニ」と「キタムラサキウニ」の2種類を、また、加工用として「ツガルウニ」を採っています。
 図1は北海道沿岸でのエゾバフンウニを採る時期の概要と禁止期間を表しました。北の宗谷岬から野寒布岬までの沿岸では5月〜6月に採っていますが、野寒布岬から日本海沿岸に面した留萌・石狩・後志・桧山そして津軽海峡の函館までの広い範囲では、ウニはほぼ同じような成熟周期を持っていることから、採る時期は6月〜8月となっています。また、函館付近の沿岸では5月〜7月に採っています。

図1エゾバフンウニの漁期と採補禁止期間
 オホーツク海に面した宗谷沿岸から知床岬までの網走沿岸では4月〜8月に採っています。また、知床岬から根室半島までの沿岸では1月〜5月に採っています。
 襟裳岬の東側、太平洋に面する十勝沿岸から釧路沿岸までは11月〜3月まで採っています。
 襟裳岬から西側の日高沿岸では、新冠沿岸までは3月〜6月、これを境に登別沿岸までは7月に採っています。また、噴火湾沿岸では、登別から室蘭の沿岸では1月〜2月、伊達・有珠沿岸では5月〜7月、虻田・豊浦沿岸では7月〜8月に採っています。
 道南の鹿部から恵山岬までの沿岸では11月〜3月、恵山岬から戸井までの沿岸では12月〜2月の間に採っています。
 このように、各海域ごとに異なるウニの生殖周期と身の発育状況に合わせて漁業が行われています。特に噴火湾から恵山岬沿岸では狭い範囲で採る時期が異なっています。
 一方、北海道海面漁業調整規則で定められている採捕の禁止期間は、十勝、釧路及び根室支庁管内沖合海域では7月1日から9月30日まで。その他の支庁管内沖合全域では9月1日から10月31日までと、二つの区分けをしています。
 このように、採る時期が狭い範囲で異なっている噴火湾から恵山岬までの沿岸についても、禁止期間はオホーツク海から日本海沿岸・津軽海峡・日高沿岸までの広い範囲の中に入っています。
 ところで、南茅部町の沿岸で採れるエゾバフンウニ生殖巣の発達状況について、この地区を担当している水産技術普及指導所では過去に調査を行っています。その結果では、6月頃に最も大きな産卵が行われ、秋(10月)の産卵は無いか、あったとしても非常に小さい状況でした。(図2)

 本来、産卵期間の採捕を制限して繁殖を保護する目的で定められている北海道海面漁業調整規則の禁止期間(9月1日〜10月31日)は、この地区では産卵期間でない可能性が大きく、反対に6月頃の産卵期間は、この地区では実際ウニ漁業を行っていませんが、禁止期間の対象に入っていないことになります。
 そこで、2回の産卵期間の状況を調べて、主な産卵期がどちらに当たるのかを明らかにして、繁殖を保護する適期を検討する目的で平成10年度に渡島東部地区水産技術普及指導所、並びに渡島南部地区水産技術普及指導所で「道南太平洋におけるエゾバフンウニ漁獲適期に係わる成熟度調査」を行いました。調査の内容は、毎月の身の歩留まり(体重と生殖巣重量の割合)を調べその増加や減少の変化により産卵状況を把握します。この調査では過去の結果と同じく6月に産卵したことを捉えることが出来ましたが、しかし、夏から秋にかけて例年と異なった変化が表われたため、産卵の状況を把握することが出来ませんでした。これは、この時期に起こった大雨や高水温等の異常気象がウニの生活に大きく影響した結果と考えられます。
 このような訳で、残念ながら昨年1年間の調査では春と秋の産卵状況の比較を行うことが出来ませんでした。このため、今年も続けて調査を行い、産卵期の状況を明らかにして、資源管理の方法を改善していきたいと考えています。

(函館水試 主任水産業専門技術員・資源増殖部
               渡島東部地区水産技術普及指導所
               渡島南部地区水産技術普及指導所)


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